米国フロリダ地域のエバーグレイズでは、オキチョビー湖から290 万エーカー(11,700km2)の範囲に水が流れて形成される「草の川」と呼ばれる湿地が存在していました。 しかし、農地開拓などや水害防止対策のために水質汚濁や乾燥化が進み、キシミー川では1947 年の水害を契機とした河川改修により蛇行が直線化され、その姿を大きく変えてしまうこととなりました。 現在、エバーグレイズでは、総事業費約78 億ドルという世界最大規模の湿地保全・復元プロジェクトが進行し、キシミー川では直線化した河道の再蛇行化による湿地復元の取り組みが行われています。
※関連情報はこちら(2012年6月 JRRN会員提供情報)
→エバーグレーズ湿地復元計画のEPA承認
→エバーグレーズ復元事業の進捗報告書公開
→更に詳しい情報はこちら(PDF 221KB) (2006年作成記事)
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北米で最大・最長の川の一つであるミズーリ川は、過去150 年の間、広範囲に渡って改変を受けてきました。しかし、1960 年代に始まったアメリカ国民の環境倫理への目覚めは、国の主要な河川の劣悪化に対しその焦点が向けられるようになり、河川管理の優先順位の再検討が行われるようになりました。この結果、連邦レベルと州レベルの両方で新たな法律が制定され、アメリカの多くの大河川の復元を支援する手段・方策が提供されました。 ミズーリ川では、1986 年のミズーリ川ミティゲーション(訳注:環境破壊に対する代償行為)法に基づくプロジェクトが実施され、湿地や河畔林復元、堤防の引き堤、堰の変更、シュート(高水時水路)の本流との再合流等が行われています。
→更に詳しい情報はこちら(PDF 27KB)
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サンフランシスコ湾岸地域は9つの郡で構成され、人口650 万人、面積19,400km2に及びます。各郡は独自の土地利用計画を持っていましたが、約30 年前に、毎年10 km2 のペースで湾が埋め立てられていくことへの地域の人々の懸念から「サンフランシスコ湾保全開発委員会」(San Fransisco BayConservation and Development Commission: BCDC)が設立されました。 このBCDC には、年間40 億ドルという予算の基に、一つの団体として様々な政策決定をしていく権限、例えば既存の港を守る権限、一般市民のためのレクリエーション施設を作る権限、さらに空港や野生動物の保護区域に関する権限などが与えられるようになりました。 40 億ドルの予算を基に自治体と協力してさまざまなプロジュクトが実施され、そのプロジュクトの一つとして、サンフランシスコ湾に流れ込むサクラメントとサンホアキン水系から形成されるカルフェド・ベイ・デルタ地域では、水辺の修復・再生プログラム(カルフェド・ベイ・デルタプログラム)が実行され、上水道の水質、生態系の保全などの分野に対して30 年以上の年月をかけて環境を修復していくプログラムが進められています。
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産業の発展、人口の増加に伴う流入負荷の増大により、閉鎖性が強いチェサピーク湾の汚濁が進行しました。その後、豊かな自然環境を取り戻すことを目標に、連邦政府、州政府が1987 年に沿岸海域関連者の協力を得て、「チェサピーク湾におけるリプログラム」を策定しました。 このプログラムには連邦政府の環境保護庁(EPA)、米国海洋大気局(NOAA)、関係4 州の大学研究機関、NGO 組織など多くの関係者が参加しています。また、このプログラムでは、湾内魚介類、海洋生物の回復に重点を置き、リンを含んだ洗剤の禁止、農業管理の向上、栄養塩の生物除去、下水道、排水規制、住民の環境教育の徹底などが含まれ、更にはミチゲーション事業も実施され、湿地帯復元や藻場の造成も行われています。その後、2000 年の合意を経てこのプログラムは大きく進展し、湾内の環境保護・回復に寄与しています。
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ボストン湾再生プロジェクトは、関連都市数43、計画人口約200 万人、企業数約5,500 社、工期11 年、総事業費約38 億ドルという米国最大規模の下水道事業として実施されました。1997 年に設立された米国マサチューセッツ州水資源庁は、関連43 都市の利害を調整するとともに、自ら多くの専門スタッフを抱えてプロジェクトを実施し、さらにそのプロジェクトに必要な財源を確保するための大がかりな市民を巻き込んだ運動(パブリック・インボルブメント)を成し遂げました。 ボストン湾再生プロジェクトによりボストン湾の水環境は格段に改善され、流域の人々に自身と誇りをもたらすとともに、地域経済の活性化にも寄与しています。
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