Asian River Restoration Network (ARRN)

アジア諸国における河川再生に関する情報交換を目的とした組織として、2006年11月ARRNが設立されました。日本におけるARRNの活動は、日本河川・流域再生ネットワーク(JRRN)が担います。

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JRRNからのお知らせ

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JRRNより年始のご挨拶

日本河川・流域再生ネットワーク(JRRN) 代表理事 土屋信行

 2014年、新年明けましておめでとうございます。

 皆様におかれましては日頃よりJRRNのネットワークの活動にご協力いただきまして大変ありがとうございます。

 昨年はJRRNの会員も増加し、アジア地域における各国の活動の情報を共有するARRNの活動も中国のCRRNに事務局を移し順調に運営されております。

 昨年秋にはIPCCの第5次報告が始まり今年中にはその全貌が明らかになります。

 気候システムが温暖化していることは疑いのない事実であり、1950年以来、気候システム全体で過去数十年から数百年の間に見られていない変化が多く生じるようになっています。IPCCメンバー国政府が27日、スウェーデンのストックホルムで承認したIPCC第1作業部会評価報告書『気候変動2013:自然科学的根拠』の政策決定者向け要約によると、過去30年間を10年ごとに区切ってみても、1850年以来のどの10年間よりも地球の平均気温が高い状態が続いています。21世紀末の地球の平均気温は、1850年から1900年の水準に比し、1.5度上昇するものと見られており、2つの最悪のシナリオでは、その差が2度を超える可能性が高くなっています。熱波がより頻繁に生じ、より長く続く可能性が非常に高いと見られ、地球温暖化が進むにつれ、一部の例外を除き、現在の湿潤地域では降水量が増大する一方で、乾燥地域の降水量は減少することになりそうです。

 このことは河川環境に重大な影響をもたらすと危惧しております。私たちの河川再生という取り組みは、水辺再生を目的に活動していますが、その水辺そのものが失われかねない事態が起ころうとしているのです。現代の地球の海面上昇は、縄文期の海進のように人々が住む場所を変えることで対応できるというものではありません。多くの河川の河口部には産業と人口が集中しており、都市が発展しています。そのための対策として、世界中の各国の対応には大きな違いが見られます。日本の場合はこれまでも地盤沈下に対応する方法として、河川堤防や海岸堤防を嵩上げすることで対応してきました。そのため河川堤防は狭い幅の中で高さを積み増し、人々を水辺から遠ざけることになってしまいました。東京の隅田川では何度も嵩上げされ、カミソリ護岸とまで呼ばれるようになっています。この対応の最大の問題点は河川堤防で対応するために長大な延長に多大な経費が掛かり、対応工事にも膨大な時間がかかることです。

 それに比べ地盤が低く海面上昇への対応を余儀なくされてきたロンドン、オランダ、ベニスなどでは、河口堰や湾口堰を築くことで、長い延長の堤防を築くのではなく、非常に短いポイントで防ぐ方法を選択したのです。オランダでは、ライン川の河口デルタ支流のアイセル川が注ぐゾイデル海を32kmの大堤防で閉め切り必要な河川堤防の20分の1の延長で、今後必要となる維持管理費を大幅に節約し、さらに河川の水辺ラインも数百kmに渡り、人々が使える形で温存することが出来ました。

 ベニスでは水没しつつあるラグーン全体をアクアアルタという高波から守るためにモーゼ計画が進行しています。ベニスは海面上昇と地盤沈下のため海岸線の侵食、都市部の高潮、干潟と湿地の喪失という問題を抱えてきました。これらの対策としてConsorzio Venezia Nuovaという組織をつくり海岸線の保全や1000haのラグーン地形を再生してきていますが、モーゼ計画の注目すべきところは、550km2という広大な広さを400mの湾口堰4基で守るということにあります。

 河川の再生とはこれをやれば良いというようなマニュアルはありません。その地域の自然、その河川、その地域住民など全ての要素を考慮し、影響し合って最良の方法が導かれなければなりません。破壊と喪失のスピードの方が、保全と再生の取り組みよりも早いのです。我々が持てる知恵と力の総力を挙げ取り組まなければ、子々孫々へ大切な水辺環境を受け渡すことは出来ないのです。

 今こそ日本の河川でも、地球温暖化による気候変動を要素に入れた、取り組みを開始しなければなりません。そのためにこのネットワークの活動を、大いに盛んにしていきましょう。今年もよろしくお願いいたします。

2014年元旦

    
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