Asian River Restoration Network (ARRN)

アジア諸国における河川再生に関する情報交換を目的とした組織として、2006年11月ARRNが設立されました。日本におけるARRNの活動は、日本河川・流域再生ネットワーク(JRRN)が担います。

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JRRNからのお知らせ

< 2023年1月:月別アーカイブ >

2022.12.7「第16回 ARRN運営会議」開催報告

オンライン会議の様子

 2022年12月7日(水)、アジア河川・流域再生ネットワーク(ARRN)の理事会に相当する「第16回ARRN運営会議」をオンライン開催し、日中韓の各RRNメンバーが参加し、ARRNの組織体制や次年度活動計画についての審議が行われました。

 本運営会議では、ARRN会長及び事務局の任期満了を受け、新たな会長及び事務局体制について協議を行い、今後3年間について、引き続きXiaogang Wang教授(中国水利水電科学研究院・副院長)がARRN会長を、また中国CRRNを運営する中国水利水電科学研究院(IWHR)がARRN事務局を担うことが決議されました。

 また世界的な新型コロナウイルス感染拡大により中断していた対面によるアジアの河川再生技術交流を来年より再開していく方向で準備を進めることが決まりました。

<報告事項>

・ARRN, CRRN(中国), KRRN(韓国), JRRN(日本)の過去1年間の活動概要報告

<審議事項>

・ARRN規約の変更(過年度協議結果の決議)
・2023年のARRN活動計画について

第16回運営会議「議事次第」(英語版)はこちら

<過去の運営会議はこちらから>

第15回運営会議開催報告はこちら(2021年11月・オンライン開催)
第14回運営会議開催報告はこちら(2019年10月・オーストラリア/ブリスベン開催)
第13回運営会議開催報告はこちら(2018年8月・東京開催)
第12回運営会議開催報告はこちら(2017年8月・マレーシア/クアラルンプール開催)
第11回運営会議開催報告はこちら(2016年8月・韓国/仁川開催)
第10回運営会議開催報告はこちら(2015年4月・韓国/慶州開催)
第9回運営会議開催報告はこちら(2014年11月・ウィーン開催)
第8回運営会議開催報告はこちら(2013年9月・成都開催)
第7回運営会議開催報告はこちら(2012年11月・北京開催)
第6回運営会議開催報告はこちら(2011年11月・東京開催)
第5回運営会議開催報告はこちら(2010年9月・韓国・ソウル開催)
第4回運営会議開催報告はこちら(2009年9月・韓国・ソウル開催)
第3回運営会議開催報告はこちら(2008年11月・中国・北京開催)
第2回運営会議開催報告はこちら(2007年12月・東京開催)

JRRNより新年のご挨拶

日本河川・流域再生ネットワーク(JRRN) 代表 土屋信行

 2023年、新年明けましておめでとうございます。

 皆様は日ごろよりJRRNのネットワーク活動にご協力いただきまして大変ありがとうございます。

 昨年は「流域治水元年」の年でしたが、皆様の地域では変革が始まりましたでしょうか。なかなか実感がわかないというのが実態のような気がします。でも、変化は確実に始まっています。耳を澄まし、目を凝らしてみてください。きっと流域のどこかで誰かが何かに取り組んでいるに違いありません。私たちが取り組んでいる「水辺の小さな自然再生」活動もそうです。

 今から20年ほど前の話になりますが、こんなことがありました。

 関東地方の江戸川という川は昭和5年に放水路を開削し、下流部が放水路と旧江戸川という川に分派しています。放水路には行徳水門が、旧江戸川には江戸川水閘門が設置されています。その主な運用目的は高潮防御ですが、それに加えて水道浄水場の取水のために塩水の遡上を止めることもあり、年間を通じてほとんどの時間閉鎖されています。そのためアユの稚魚が遡上する5月の時期、江戸川水閘門の下流側には稚魚が大量に群れを成し、黒い団塊になって水しぶきが上がるほどになっていました。この地域にはこのアユの稚魚を網ですくって佃煮にして食べる習慣があり、春の風物詩になっていました。

 この鮎の稚魚の量があまりにも多いので、少しでも上流へ遡らせてやりたいと思い、水閘門の管理者に相談したところ、「水閘門は舟運のために設置されています。船の航行が無ければ開門は出来ません。」との回答でした。そこで私たちは船の航行があれば開閉してくださるのですねと確認したうえで、防災担当部署が管理していた防災用のゴムボートの航行確認と称して毎年この時期にボートを出し、新人職員の訓練もかねて毎日2回、江戸川水閘門を通過することにしました。水門が開くと同時にものすごい量の黒い塊になった稚魚たちが泳ぎだす様は壮観で、「元気に上流まで行けよ!!」と思わず声を掛けたものでした。

 この様子を管理者の国交省江戸川河川事務所へ報告をしたところ、その翌年には国土交通省の水門管理事務所の方々が単管パイプとコンパネ、ブルーシートで簡易の魚道を作って下さいました。何度か勾配や水路幅を変えながら挑戦してくださいましたがなかなかうまくいかず、結局はカヌー協会の方々も協力して、毎日、船の航行のためと称して閘門を開閉することになりました。毎年5月の連休にはアユの遡上のための水閘門の開閉を年中行事にして、一昨年他界した「おさかなポスト」の山崎さんにもご参加いただき、毎年恒例の大イベントにしてしまいました。この報告を「全国川サミット」で報告したところ、ある年、利根川の上流の漁協の方々がこのイベントに参加して「なんか最近、鮎の自然遡上の数が急激に増えている。これはいったいどうしたことかと調べたら、皆さんが鮎のために水閘門の開閉をイベントにして取り組んでいることを知りました。大変有難うございます。」というお話をいただいたのです。

 結果としてみると河川管理者が水閘門の開閉は舟運の為だけにあるというマニュアル解釈を少し変えただけで大きな変化を生み出したのです。今では、毎年5月の一定期間、船が通らなくても水閘門は一日2回開閉されています。「水辺の小さな自然再生」活動が始まる前のことです。

 この事実は流域治水を考えた時、目の前の事象だけにとらわれることなく、全体を俯瞰して物事を捉え、広い視野での取り組みが必要であることを示しています。「知の巨人」の立花隆さんは「学者も技術者も検討が進めば進むほど総合的判断力を失って、狭い分野だけしかわからない専門家になっていってしまう。」いわゆる「総合知」の必要性を説き「専門性の細分化」は文明の崩壊を招くと論じています。

 私たちは今、目前の課題解決に対し「小さな取り組み」から始め、「大きな自然再生」を目指していこうとしています。

 今年も全国各地で「大きな自然再生」に取り組もうではありませんか。大いにご活躍ください。どうぞよろしくお願いいたします。

2023年元旦

 

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