JRRN企画「H25河川再生モニタリング事例集」制作に向けたヒアリング調査を実施しました。
JRRNでは、『筑波大学白川(直)研究室「川と人」ゼミ』と連携し、『地域で取組む河川環境の評価~河川再生の順応的管理に向けたモニタリング事例集~(仮題)』の制作に取組んでおります。(JRRN自主事業)
河川再生モニタリング活動の更なる推進に向けた諸課題克服のヒントを得るため、モニタリング活動に取組む市民団体及び日頃連携する河川管理者を対象としたヒアリング調査を10月から12月にかけて実施しましたので、概要をご紹介させて頂きます。
【1】 第1弾 「釧路国際ウェットランドセンター & 国土交通省北海道開発局釧路開発建設部」(2013年10月22日)
■ヒアリング先:
1.釧路国際ウェットランドセンター: 菊地様、齊藤様
2.国土交通省北海道開発局釧路開発建設部: 市川様
■ヒアリング担当者:
筑波大学白川(直)研究室: 鴨志田、坂本
■ヒアリング実施日: 2013年10月22日(火)
■ヒアリング担当者よりコメント (by鴨志田)
釧路川および釧路湿原に関する情報発信を中心に活動されている釧路国際ウェットランドセンター(KIWC)では、活動理念からモニタリング時の工夫に至るまでを丁寧にご説明頂き、実り多きヒアリング調査となりました。また、釧路開発建設部では、釧路湿原や旧川復元箇所の現地をご案内頂き、より理解が深まりました。特に、釧路町の細岡展望台から望む湿原や蛇行した釧路川は、河川環境の豊かさについて改めて考えさせられる佳景でした。
今回の訪問からは、釧路川をとりまく行政や市民の環境保護意識の高さが感じられました。また、それを行動に移すための仕組み作りが進んでおり、積極的な活動の成果として表れているように思えました。釧路川の事例は、今後分析を進めていくにあたっての重要な足がかりになると思います。
【2】 第2弾 「山崎川グリーンマップ & なごや生物多様性保全活動協議会」(2013年10月31日)
■ヒアリング先:
1.山崎川グリーンマップ: 大矢代表、メンバー皆様
2.なごや生物多様性保全活動協議会: 宇地原様、鵜飼様
■ヒアリング担当者:
JRRN事務局:和田・木村、 筑波大学白川(直)研究室: 田中
■ヒアリング実施日: 2013年10月31日(木)
■ヒアリング担当者よりコメント (by 和田)
大矢代表に案内され山崎川に到着すると、明るく元気な山崎川グリーンマップの皆様、なごや生物多様性保全活動協議会の鵜飼さんが出迎えてくれました。日頃モニタリング活動を行う山下橋下流付近から上流の山崎川親水広場を案内頂き、山崎川での様々な活動や苦労話もご紹介頂きました。更に東山荘でのヒアリングでは、子供達や地域とともに外来種駆除を進めていく上での工夫やアドバイスを頂戴し、主婦のチーム力に支えられた皆様の熱い思いや活動の蓄積に感銘を受けました。
続いて訪問したなごや生物多様性保全活動協議会(事務局:生物多様性センター)では、宇地原さんより、山崎川での活動を応援する立場からの、更なる活動の推進に向けた貴重なご意見を賜りました。
パートナーシップに基づく地域で取組む河川再生活動の規範とも言える山崎川での知見や工夫を、事例集を通じて皆様にお届けできるよう努めてまいります。現地でお世話になりました皆様に感謝申し上げます。
【3】第3弾 「芦田川環境マネジメントセンター & 国土交通省中国地方整備局福山河川国道事務所」(2013年11月7日)
■ヒアリング先:
1.芦田川環境マネジメントセンター:田中会長、川嶋様、柳井様
2.国土交通省福山河川国道事務所:坂田様、高木様
■ヒアリング担当者: JRRN事務局:和田・木村、筑波大学白川研究室:田中・能登
■ヒアリング実施日: 2013年11月7日(木)
■ヒアリング担当者よりコメント
芦田川環境マネジメントセンターの田中会長と事務局の皆様、また芦田川の管理を担う福山河川国道事務所の方々と合同で、芦田川におけるモニタリング活動の内容や様々な工夫、また更なる水質改善に向けた課題などのお話を詳しく伺いました。
他の河川であまり見られない芦田川でのユニークな仕組みとして、地元のラジオ局である「エフエムふくやま」に芦田川環境マネジメントセンター事務局を構え、ラジオや地元コミュニティ誌を通じて芦田川の現状や環境改善に向けた取組を地域に伝えながら川への地域の関心を高め、かつ様々な活動への参加を促している点が挙げられます。芦田川環境マネジメントセンターによる活動を、福山市や河川管理者である福山河川国道事務所とともに地域のメディアが応援しながら地域全体で盛り上げていくスタイルは、他地域においても参考になります。
【4】第4弾 「重信川の自然をはぐくむ会 & 国土交通省四国地方整備局松山河川国道事務所」(2013年11月8日)
■ヒアリング先: 国土交通省松山河川国道事務所(重信川の自然をはぐくむ会事務局): 柴田様、金枡様
■ヒアリング担当者: JRRN事務局:和田・木村、筑波大学白川研究室:田中・能登
■ヒアリング実施日: 2013年11月8日(金)
■ヒアリング担当者よりコメント
今年で設立から10年目を迎えた「重信川の自然をはぐくむ会」は、重信川の再生に向けた市民団体・大学・行政の共同体で、事務局を務める松山河川国道事務所の柴田様より、これまで10年間の歩み、モニタリング活動の成果や課題、また異なるセクター間連携に際しての工夫やご苦労などを伺いました。
重信川の順応的管理に向け、プロの調査会社が行うモニタリングと高校生物部や大学研究室が行うモニタリング結果を比較し、相互補完しながら利活用する方策を検討する取組などは、今後の持続的な河川モニタリング調査実施の観点からも重要と感じました。
【5】第5弾 「ふるさと侍従川に親しむ会」(2013年11月15日)
■ヒアリング先: ふるさと侍従川に親しむ会:山田代表、佐野様
■ヒアリング担当者: JRRN事務局:和田、筑波大学白川研究室:坂本
■ヒアリング実施日: 2013年11月15日(金)
■ヒアリング担当者よりコメント
山田代表及び佐野副代表と六浦駅にて合流後、さっそく侍従川沿いを歩きながら、日頃行うモニタリング活動の詳しい内容やこれまでの歩み、また様々な苦労話などを伺いました。全長約3kmと小さな川だからこそ、自分達の庭の様な所有感を抱きながら地域の方々が川での調査活動に取組み、流域内のすべての小中学校が環境学習などを通じ侍従川と触れ合っていることが特に印象に残りました。
小学生が属するジュニア探検クラブ、中・高・大学生が属する学生部、更にそれらを応援する大人達と、世代を超えた団結力でふるさとの川を見守り、その変化を調査する取組みは先進的と言えます。
【6】第6弾 「荒川流域ネットワーク & 埼玉県東松山農林振興センター」(2013年11月21日)
■ヒアリング先:
1.NPO法人・荒川流域ネットワーク:鈴木代表
2.埼玉県東松山農林振興センター:岩上様、君嶋様
■ヒアリング担当者: JRRN事務局:和田・木村、筑波大学白川研究室:田中・中前
■ヒアリング実施日: 2013年11月21日(木)
■ヒアリング担当者よりコメント
荒川流域ネットワークの鈴木様より入間川の菅間堰と寺山堰をご案内頂き、モニタリング活動実績や様々なご苦労などのお話を伺いました。これらの堰では、荒川流域ネットワークの調査活動がきっかけとなり、埼玉県が取組む「川のまるごと再生プロジェクト」として新たな魚道の設置が進められています。午後からは、魚道の設置事業を担う埼玉県東松山農林振興センターを訪問し、荒川流域ネットワークなど地元関係者と連携した河川再生の取組をご紹介頂きました。「川を、地域をより善くしたい」という共通の思いが、連携活動推進の源になっていることを改めて学ばせて頂きました。
【7】第7弾 「東彼杵清流会 & 長崎県県北振興局」(2013年12月6日)
■ヒアリング先:
1.東彼杵清流会:池田代表
2.長崎県県北振興局建設部河川課:壇様
■ヒアリング担当者:
JRRN事務局:和田
筑波大学白川研究室:坂本・鴨志田・川畑・中前
■ヒアリング実施日: 2013年12月6日(金)
■ヒアリング担当者よりコメント
東彼杵清流会の池田代表より、彼杵川におけるアユ復活に向けたこれまでの取組み、復活後のモニタリング調査、またアユ復活をきっかけとした国・県・町の行政機関や地元の市民団体・学校との連携、更には本年9月に開催した「そのぎ川まつり」について詳しくお話を伺いました。
また、彼杵川を管理する長崎県県北振興局建設部河川課では、壇課長より長崎県内を流れる川の特徴、県内の川をフィールドに活動する市民団体を紹介頂いたのち、魚道設置やそのモニタリング調査について、地元関係者と連携した活動の推進に向けた現状や課題を丁寧にご説明頂きました。
総延長7km弱の小さな彼杵川ですが、熱意あふれる住民力と行政力が融合した地域・学校・行政の協働活動から、河川再生の順応的管理に向けた多くのヒントを学ばせて頂きました。
【8】第8弾 「直方川づくり交流会(NPO法人直方川づくりの会)」(2013年12月8日)
■ヒアリング先:
NPO法人直方川づくりの会: 野見山理事長、渕上様、梶原様、高橋様
■ヒアリング担当者:
JRRN事務局:和田・木村
筑波大学白川研究室:白川准教授・坂本・鴨志田・川畑・中前
■ヒアリング実施日: 2013年12月8日(日)
■ヒアリング担当者よりコメント
直方川づくりの会の活動拠点となっている遠賀川水辺館にて、野見山代表をはじめ、魚類、鳥類、環境学習、水環境等をご専門とする皆様より遠賀川をフィールドとした様々な活動内容をご紹介頂きました。
「50年後の遠賀川夢プラン」の実現に向けて日々奮闘されている方々のお言葉は実に重く、また時空間スケールも大きく感じました。中でも活動を持続発展的に行う中での「際(きわ)」というキーワードが印象に残りました。生物調査についても、必ずしも詳細に記録を残すことはせず、しかし楽しみながらビジュアルに地域に現状を伝える工夫をするなど、地域と共に生き物調査を長く継続していく上での適度なレベルがあるとの助言は、今回の調査の新たな発見となりました。
なお、本活動成果を集約した事例集発行は2014年2月頃を予定しております。引き続き、皆様のご協力とご支援をよろしくお願いいたします。
※本活動は、公益財団法人河川財団の河川整備基金の助成を受けて実施しております。
By JRRN事務局 | カテゴリー: その他 | コメント(0) | トラックバック(0)
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日時: 2013年12月25日 08:37
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